Présentation- 「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ」について
「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ(Vorarlberger Bergkäse)」は、オーストリアのフォアアールベルク州で作られる伝統的なハードチーズで、アルプスの豊かな自然環境が生み出す深い味わいが特徴です。最低でも3か月の熟成期間を経ることで、しっかりとしたコクとナッツのような風味が生まれ、熟成が進むにつれてスパイシーでより力強い味わいへと変化します。特に、長期間熟成されたものは結晶化したアミノ酸が見られ、カリッとした食感が楽しめるのも魅力のひとつです。
朝食や軽食、シュペッツレ、グラタン、チーズスープなどのさまざまな料理に使えるほか、ワインとともにそのまま楽しむのにも最適です。
同じベルグケーゼというチーズでも、「アルガウアー・ベルグケーゼ」は、比較的マイルドでクリーミーな口当たりが特徴です。熟成が進むにつれてナッツのような香ばしさと軽いスパイシーさが出てきますが、全体的にはバランスの取れたまろやかな味わいです。特に若い熟成のものは、ミルキーで優しい風味が強く、ほのかに甘みも感じられます。
Histoire- 「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ」の歴史
オーストリア国内でフォアアールベルガー・ベルグケーゼは広まると、やがて国際市場にも進出していきます。特に20世紀に入ると、品質管理が徹底され、伝統的な製法を守るための組織が設立されました。
2003年には、EUの「原産地名称保護(PDO: g.U.)」を取得し、フォアアールベルク州で伝統的な方法で作られたもののみが「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ」と名乗ることができるようになりました。これにより、品質と伝統が保証され、チーズの価値がさらに高まりました。
現在もフォアアールベルク州では、多くのチーズ工房がこのチーズを製造しており、すべてヘウミルク(干し草のみを食べた牛のミルク)を使用するという厳格な基準を守っています。最低4か月の熟成を経て、さらに9か月以上熟成させたものはより深みのある味わいとなり、高級チーズとしても人気があります。
Région-「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ」の生産地域
オーストリアのフォアアールベルク州は、スイスやドイツと国境を接するアルプス地方に位置し、豊かな自然に恵まれた地域です。そのため、食文化も山岳地帯ならではの特徴を持ち、伝統的な酪農や郷土料理が今も大切に受け継がれています。
この地域の食文化の中心となるのは、やはりチーズです。特に有名なのが「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ」で、アルプスの新鮮な牧草を食べた牛のミルクから作られ、長期間熟成させることで濃厚なコクとスパイシーな風味が生まれます。また、「ラントカーズ(Ländlekäse)」と呼ばれる地元のチーズも親しまれ、さまざまな料理に活用されています。
チーズを使った代表的な郷土料理として、ケーゼシュペッツレ(Kässpätzle)があります。これは、小麦粉と卵で作るモチモチとしたパスタのような生地に、とろけるチーズをたっぷり絡めたもので、カリカリに炒めた玉ねぎをのせて食べるのが一般的です。スイスのチーズフォンデュに似た料理ですが、より素朴で家庭的な味わいが特徴です。
肉料理もまた、フォアアールベルクの食文化には欠かせません。特に、「ヴェルシュト(Würste)」と呼ばれるソーセージや、アルプスで育った牛や豚の肉を使ったシチュー、ロースト料理がよく食べられています。伝統的な方法でスモークされたハムやベーコンも人気で、これらはチーズや黒パンとともにシンプルなプレート料理として楽しまれます。
Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン
「フォアアールベルガー・ベルグケーゼ」のスパイシーで豊かな風味を引き立てるには、ミディアムボディの赤ワインやドライな白ワインが最適です。例えば、ピノ・ノワールやゲヴュルツトラミネールは、このチーズの味わいと見事に調和します。チーズとワインのペアリングを楽しむことで、より両者の風味を堪能することができるでしょう。